宮久保:「カルピス」が、1919年の七夕(7月7日)に発売されたことにちなみ、2009年以降、七夕の時期には社員が店頭に立ってお客様へ「カルピス」をおすすめする活動を行っています。
森脇:店頭で試飲施策なども行い、多くのお客様に「カルピス」の味や価値を再認識していただいています。お客様との接点も生まれる、アサヒ飲料がとても大切にしているイベントです。
篠原:ただそれが、新型コロナウイルス感染防止のため社員が立つことができなくなってしまったんです。
森脇:毎年、とても楽しみにしていたイベントで社員一同本当に残念な気持ちでした…。
宮久保:そこで、社員が売り場に立たなくてもお客様との接点を創出できる「デジタルサイネージ」を活用したアイデアが生まれました。店頭のモニターに社員がアバターとして登場し、お客様に「カルピス」をおすすめする店頭施策です。
宮久保:毎回、「カルピス」七夕企画に関しては、マーケティング部門主導でどのようにしてお客様へ「カルピス」の価値をお届けしてくかを決めていきます。そして店頭施策については、各支社との細かなやり取りを広域量販営業部が行い、実際の店頭の売り場作りやお得意先様とのやり取りは各支社の営業担当が行っていました。
森脇:そうですね。僕の所属する広域量販営業部では、具体的に実施店舗ごとに必要な情報をマーケティング部とともに整理し、当日トラブルなく運営できるよう準備を進めました。
篠原:通常であれば、営業担当だけでなく様々な部署の社員が店頭に立ち、お客様へ「カルピス」の価値や美味しさをお届けしていたのですが、コロナ禍における「デジタルサイネージ」企画では、営業担当の私が「アバター役」を担当しました。会議室にスタンバイし店頭のお客様にお声がけする役割です。
宮久保:実は「デジタルサイネージ」企画を実施する予定はなく、急遽決まった話だったため、とにかく時間がありませんでした。
森脇:そうそう。そもそもコロナ禍の影響で、当日の店頭イベントの実施予定はありませんでした。しかし、アサヒ飲料はお客様との接点を作ることを非常に大切にしています。そこで何かできないか、と考えてでてきたのが「デジタルサイネージ」企画でした。
宮久保:7月7日『「カルピス」の日』と同じように、3月28日(みつや)を「三ツ矢の日」としているのですが、そのとき試験的に実施した店頭での「デジタルサイネージ」企画が好評だったんです。これを「カルピス」七夕イベントにもできないか、という話が広域量販営業部からでてきたんですよね。
森脇:通常、「カルピス」七夕イベントは前年の秋くらいから企画の立案をスタートさせますが、3月28日の「三ツ矢の日」イベントの実施後なので、すでに3月の終わり。時間はないけど、こんな状況でもお客様に何かお届けしたいよね、だから頑張ってみようよ、という話になったんです。
宮久保:とにかくスピーディに物事を進めなくてはいけません。通常であれば、一週間に一回ほど定例会という形で打ち合わせの場を設けるのですが、「デジタルサイネージ」企画ではそんなスピード感ではとうてい間に合いません。
森脇:そのため毎日進捗を共有しながら問題が発生したらすぐに打ち合わせをする、というスタイルにしました。「限られた時間の中で当日実施可能な企画をより良い形で完成させる」ために、常にお互いが企画の全容や進捗を把握している状況にすることで、各種問い合わせやイレギュラー対応においても当人がすぐに対応できとても良かったです。
篠原:実際に、私が森脇さんへ質問をしたときもすぐに回答していただけたので非常に助かりました!密に情報共有を行っていたからこそだったんですね。
宮久保:おかげさまでなんとか当日に間に合わせることができました。
篠原:私は当日のアバター役を担当しました。会議室と店舗をネットでつなぎ、モニター越しでお客様に「カルピス」の魅力をPRしました。お客様も、ただのモニター映像だと思っていたところ私が話かけるので驚くとともに、興味を持っていただけましたね!
宮久保:私は実際に出演しませんでしたが、当日に何店舗か回らせていただきました。親子連れの方が大変喜んでいたのが印象に残っています。モニター越しに◯✕クイズをするなど、盛り上がっていましたね。購入していただくお客様も多かったです。
森脇:私も何店舗か見に行かせていただきました。お客様も喜んでいましたが、コロナ禍で店頭イベントが減っていたのでお店の方にも喜んでいただけました。久しぶりにお客様が喜んでいるのを見られたよ、と。
篠原:普段仕事をしているとお客様との接点ってなかなかないので、直接お客様とコミュニケーションを取ることができて嬉しかったです。店舗では小さなお子様からご年配の方までとても幅広いお客様に手に取っていただけるのを見て、「カルピス」の魅力をお伝えできる機会が私は初めてだったのでとても嬉しい体験でした。
宮久保:今回、時間もない中で実施したのですが、一人で悩むことなく、チーム、部門を超えて業務を進めていくことの重要性を改めて感じました。各部門の役割は異なったとしても、お客様視点を忘れずに共通の目標に向かって進むことでより良い企画になると思いました。
森脇:今回は新たな取組であったため、まず事前にあらゆる状況を想定し、やるべきことを整理してスケジュールを作成すべきであったと思います。反省点はありましたが、大きな学びを得られたイベントになったと思います。
篠原:私は、「認識してもらうことへの粘り強さ」と「密なコミュニケーション力」を学びました。アバター役をやってみて、ただ陳列してあるだけ、ただ話しかけるだけでは何も始まらないなと感じました。目に留まり認識してもらうためにどうすればいいかを考える良いきっかけとなりました。また、リモートワークが中心となっている今、密なコミュニケーションが必要であると感じられました。
※所属・仕事内容は取材当時