ニュースリリース

西松建設と協業し、カーボンネガティブコンクリート※1を開発
「CO2を食べる自販機」で回収したCO2を活用し工業原料化する国内初の取り組み

事業・活動

2024.03.06

※1製造工程で排出される二酸化炭素を実質ゼロ以下に引き下げたコンクリート

 アサヒ飲料株式会社(本社 東京、社長 米女太一)は、西松建設株式会社(本社 東京、社長 髙瀨伸利、以下 西松建設)とともに、「CO2を食べる自販機」で回収したCO2を活用したカーボンネガティブコンクリートを開発しました。自動販売機を用いて大気中のCO2を活用し工業原料化する取り組みは国内初です。
 11月から現場での耐久性や適応性に関するテストを実施し、2030年を目途に本格導入に向けた検討を進めていきます。

 本取り組みは、2023年6月から開始しているCO2資源循環モデル構築の「CO2活用」の実証実験の一環です。自動販売機で回収したCO2をどう活用するかが課題となる中、コンクリートの脱炭素化に取り組む西松建設と2023年2月から両社で協議を開始しました。

 本コンクリートは、自動販売機で回収した大気中のCO2を吸収した副産物由来の特殊材をコンクリート1m3あたり約200kg以上混和させることによって、特殊材をコンクリートに固定化させています。更にコンクリートの原料であるセメントの代替原料として製鉄所の副産物である高炉スラグ微粉末※2を使用しています。これによって、従来のコンクリートの強度を低下させることなく、一般のコンクリートと比較してCO2排出量を削減したコンクリートを作ることに成功しました※3

※2鉄鋼製造工程において副産物として発生する鉄鋼スラグ

※3一般社団法人C2X LCA算定済

 日本全体で出荷されるコンクリートの量は年間で約7,500万m3と試算されています。仮に年間出荷量の0.1%を本コンクリートに置き換えると、年間約27万本のスギ (林齢56-60年)の木を植えたと同程度のCO2削減効果が期待でき、森林の広さに換算すると東京ドーム約77個分に相当します※3

カーボンネガティブなコンクリート(右)

参考:「CO2を食べる自販機」を活用したCO2資源循環について

【CO2の吸収】
 自動販売機の庫内にCO2を吸収する特殊材を搭載した「CO2を食べる自販機」を2023年6月から展開しています。自動販売機は周辺の大気を吸いこみ、それを利用して商品を冷やしたり温めたりしていますが、本機は庫内に搭載した特殊材が大気中のCO2のみを吸収する仕組みです。CO2を吸収しても自動販売機の稼働に影響はなく、大気中のCO2を吸収する木と同じような役割を果たすため、脱炭素社会の実現に貢献します。
 CO2吸収性能として1台当たりのCO2年間吸収量は稼働電力由来のCO2排出量の最大20%を見込んでおり、スギ(林齢56-60年)に置き換えると約20本分の年間吸収量に相当します。
 実証実験では関東・関西エリアを中心に、CO2濃度が高いとされる屋内に加え屋外などさまざまな場所に約20台設置し、CO2吸収量や吸収スピードなどを比較・検証しています。

【吸収したCO2の活用】
 自動販売機から吸収したCO2は、取り組みにご賛同いただける各自治体や企業と共創しながら、さまざまな工業原料として活用することを計画しています。吸収材を肥料に配合し土壌に散布することでCO2の土壌貯留を図るほか、コンクリートの原料に配合しCO2の固定化や海中での藻場造成などに活用することでブルーカーボン生態系※4の再生を図ることなどを検討しています。

※4ブルーカーボンとは「海洋生態系に蓄積される炭素」のことであり、そうした作用を有する生態系

 CO2資源循環モデルの取り組みは、アサヒ飲料が将来世代にワクワクと笑顔をつなげていくための活動「100YEARS GIFT(100年ギフト)」の一環です。自動販売機を通して環境負荷低減に貢献する取り組みによって100年先のサステナブルな地球を目指していきます。

 アサヒグループでは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”の行動指針の一つとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を掲げています。サステナビリティの重点テーマの一つである「気候変動への対応」においては、CO2排出量削減の中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定し、2040年までにCO2排出量をゼロとすることを目指しています。